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サヨナライツカ [生きること]

ここのところ、頭痛がしないことがない。
春先は花粉が多く飛び散っているから、年々両目が痛く、そのせいで、顳顬が酷く痛むのかもしれないが。。。

視界はいつも、まるで霧がかかったようだ。
歳を重ねることの不都合を認めたくない自分を、
誰かが戒めるかの如く、

私の体は、もう、私の言うことを訊かない。

それでも、まるで若い頃の様に、煮詰まれば、いつも現実から逃げたくなる。
家族を別宅へと送り出した後、私は独り、抜け出すように歓楽街へと身を隠した。
いつしか、まだら模様に黒ずむ天井を眺め、私は独り、微睡んでいた。

今ではもう、触れることのない手の感触に驚きながら、片言の日本語の語りかけに、かつて覚えた片言のタイ語を無意識に返しつつ、意識はそこにはなく、いにしえの日々へと想いを馳せていた。

西から照らす強い陽射し、
夕方なのに、一向に気温は下がらず、
体にはべっとりと纏う汗がしたたり、衣服を容赦なく濡らす。
分厚い空気に触れた額は、いつも以上に熱を持ち、歩き回った足は棒のようになっている。
それでもどこか、懐かしさが込み上げる街並みを歩くのに、安堵しきって、
普段嗅ぐことのない臭いや、必要以上に大きな騒音にも、驚くことなく、
心地良さを狂酔し、痛みを忘れている。

ストレスでこわばった体を、弾力のある若いその手が優しく撫でるせいで、
いつしか、白昼夢の中へと、引き込まれようとしていた。

しかし、そこで私が気がついたことは、
それまでの自分の全てを、いとも簡単に、ひっくり返す事だった。
==

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ここにだけ。 [その人]

季節がめぐり、またこの日がやってくる。
どんなに時間が経とうとも、色あせぬ、幸せだった日々の思い出。

ありがとう。あなたと会えた幸運を。
そして、あなたが生をうけたこの日の奇跡を。

お誕生日、おめでとう。
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Nothing without you [100 Essential Songs]

自分が自分であること、自分らしさや、自分の本当の姿を、人はどう認知できるのか、という至極単純な問に答えようと、人は自分の心を見る以外にも、人は自分以外の誰かの心に自分を映そうとする。

人を愛すれば愛するほど、相手の心に映る自分を見ようとするものだが、人の心に映る自分が本当の自分であるのか、定かではない。

僕は、あなたに、どんな自分を映そうとしていたのだろうか。

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「他人事」 [生きること]

私が人と違う事があるならば、それはほとんどの人が抱えている問題を、きっと私は抱えていないからだろう。

私が抱えぬその問題は、多く人達にとって、抱えたくて抱えているのではなく、まるで、宿命か、運命のようなもの。産まれた時から、避けることなどできないのだ。

宿命か、運命か。
手配の良かった私には、まるで同じ境遇に置かれる事などなく、私にとっての当たり前が、他者には当たり前ではない事として、自身の事のように受け入れることは、きっと生まれ変わるまで、できないのだろう。

このジレンマを感じる度に、
私は、悲しい、と思うほかに、感情がないのだ。

一方、私が抱える問題は、ほとんどの人が気がつかない。
多くの人にとって、きっと時間を割くに値すらない、「他人事」。

他者の嘆き悲しむ気持ちに寄り添えない私のように、
他者も私には寄り添えないのだろうか。

それでも、私が寄り添う誰かを強く欲っするのは、
その問題が、私の事なのではなく、「他者そのものの存在」だからだろう。
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難破船 [100 Essential Songs]

たかが 恋人を 無くしただけで
何もかもが 消えたわ

ひとりぼっち だれも いない
私は 愛の 難破船

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Someone like you [100 Essential Songs]

初恋が人生に与える様々な想いは、
その後、長く、沢山の人を愛することの、きっと礎となる。

届かぬ想いに、
そっと手を離してしまったその時には、

去りゆく背中を見送るだけの、
空っぽの想いが、残るかのようだった。



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Acceptance [100 Essential Songs]

柔らかさ、
優しさ、
清らかさ、

迷いなく、憂いなく
そして、畏れることはなかった。

なぜあの時、僕は受け入れることができたのだろうか。
あなたから、そっと手を離すということを。

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如果沒有你 [100 Essential Songs]

音楽はいつも、色あせた記憶を蘇らせ、
曲を聴いたその時にいた空間へと誘う。

あなたがくれた、曲を聴けば
今でも僕をあの頃に、
そして
あの頃の僕に、
連れ戻してくれる。

あなたが曲に込めた、その想いは、
その時の僕にはわからなかった。

「いい曲だから」・・・「綺麗な曲だね」
1度聴いたぐらいでは、心の奥に触れることは出来ない。

でも、こうして時間が経って、
残された欠片の一つひとつを拾っていくと、

あなたの想いの深さに、
僕は少し、触れることが出来る。

旋律の合間に、感じる息づかい、
張り詰めるような空気感。

あなたが傍にいて、
愛してくれた、あの頃。

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生きること [生きること]

僕は、
あるときから

自ら目を覆い,耳を塞いで、
外を知ることを諦め、

失った何かを求めようとはせず、
心に覆った霧を霽らそうともせず、
己と向き合うことから、逃れていた。

しかし、
今日の午後、
ずっと己の内に秘めていた何かが、
突然、あふれだした。

失ったと思っていた何かは、
突然、僕の手の中に戻り、
長らく触れていなかった、
己の外の世界の手触りの、
生々しさを感じた。

生きている一瞬一瞬に、
己の神経の全感覚を研ぎ澄ますことで、
感じたありのままを、
心から溢れる言葉で表すという作業。

これが、
生きるということの実感。

興奮で、今夜はきっと眠れないだろう。
明日という未来がやってくるのが、今から待ち遠しいのだ。




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Departure Bay [100 Essential Songs]

今はもう、懐かしいというような心地であるが、
30代には、いつもそう感じていたようにおもう。

気持ちを前に進めようとする、あるいは、急いでそうしなくてはならない気がしているが、
でもそれは自分の何か確かな意思や根拠なのではなく、
心のどこかでは、過去や後ろを振り返ることに安堵するか、
もう歩みをとめようとする自分を、いっそ許そうとするか、
目を瞑りたくて仕方が無い。

何か切なく、心がきゅっと締まり、しかし、感情を押し殺し、
前に進めと言われれば、ただ遠くの曇空に目をやって、
何かが訪れることを、ひたすら待っているような心地だった。

ただただ突っ走っていた20代には、想像だにしなかった、心の停滞。

Departure Bay by Diana Krall

The Girl in the Other Room

The Girl in the Other Room

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Verve
  • 発売日: 2004/04/12
  • メディア: CD


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