前の10件 | -
サヨナライツカ [生きること]
ここのところ、頭痛がしないことがない。
春先は花粉が多く飛び散っているから、年々両目が痛く、そのせいで、顳顬が酷く痛むのかもしれないが。。。
視界はいつも、まるで霧がかかったようだ。
歳を重ねることの不都合を認めたくない自分を、
誰かが戒めるかの如く、
私の体は、もう、私の言うことを訊かない。
それでも、まるで若い頃の様に、煮詰まれば、いつも現実から逃げたくなる。
家族を別宅へと送り出した後、私は独り、抜け出すように歓楽街へと身を隠した。
いつしか、まだら模様に黒ずむ天井を眺め、私は独り、微睡んでいた。
今ではもう、触れることのない手の感触に驚きながら、片言の日本語の語りかけに、かつて覚えた片言のタイ語を無意識に返しつつ、意識はそこにはなく、いにしえの日々へと想いを馳せていた。
西から照らす強い陽射し、
夕方なのに、一向に気温は下がらず、
体にはべっとりと纏う汗がしたたり、衣服を容赦なく濡らす。
分厚い空気に触れた額は、いつも以上に熱を持ち、歩き回った足は棒のようになっている。
それでもどこか、懐かしさが込み上げる街並みを歩くのに、安堵しきって、
普段嗅ぐことのない臭いや、必要以上に大きな騒音にも、驚くことなく、
心地良さを狂酔し、痛みを忘れている。
ストレスでこわばった体を、弾力のある若いその手が優しく撫でるせいで、
いつしか、白昼夢の中へと、引き込まれようとしていた。
しかし、そこで私が気がついたことは、
それまでの自分の全てを、いとも簡単に、ひっくり返す事だった。
==
春先は花粉が多く飛び散っているから、年々両目が痛く、そのせいで、顳顬が酷く痛むのかもしれないが。。。
視界はいつも、まるで霧がかかったようだ。
歳を重ねることの不都合を認めたくない自分を、
誰かが戒めるかの如く、
私の体は、もう、私の言うことを訊かない。
それでも、まるで若い頃の様に、煮詰まれば、いつも現実から逃げたくなる。
家族を別宅へと送り出した後、私は独り、抜け出すように歓楽街へと身を隠した。
いつしか、まだら模様に黒ずむ天井を眺め、私は独り、微睡んでいた。
今ではもう、触れることのない手の感触に驚きながら、片言の日本語の語りかけに、かつて覚えた片言のタイ語を無意識に返しつつ、意識はそこにはなく、いにしえの日々へと想いを馳せていた。
西から照らす強い陽射し、
夕方なのに、一向に気温は下がらず、
体にはべっとりと纏う汗がしたたり、衣服を容赦なく濡らす。
分厚い空気に触れた額は、いつも以上に熱を持ち、歩き回った足は棒のようになっている。
それでもどこか、懐かしさが込み上げる街並みを歩くのに、安堵しきって、
普段嗅ぐことのない臭いや、必要以上に大きな騒音にも、驚くことなく、
心地良さを狂酔し、痛みを忘れている。
ストレスでこわばった体を、弾力のある若いその手が優しく撫でるせいで、
いつしか、白昼夢の中へと、引き込まれようとしていた。
しかし、そこで私が気がついたことは、
それまでの自分の全てを、いとも簡単に、ひっくり返す事だった。
==
ここにだけ。 [その人]
季節がめぐり、またこの日がやってくる。
どんなに時間が経とうとも、色あせぬ、幸せだった日々の思い出。
ありがとう。あなたと会えた幸運を。
そして、あなたが生をうけたこの日の奇跡を。
お誕生日、おめでとう。
どんなに時間が経とうとも、色あせぬ、幸せだった日々の思い出。
ありがとう。あなたと会えた幸運を。
そして、あなたが生をうけたこの日の奇跡を。
お誕生日、おめでとう。
Nothing without you [100 Essential Songs]
自分が自分であること、自分らしさや、自分の本当の姿を、人はどう認知できるのか、という至極単純な問に答えようと、人は自分の心を見る以外にも、人は自分以外の誰かの心に自分を映そうとする。
人を愛すれば愛するほど、相手の心に映る自分を見ようとするものだが、人の心に映る自分が本当の自分であるのか、定かではない。
僕は、あなたに、どんな自分を映そうとしていたのだろうか。
人を愛すれば愛するほど、相手の心に映る自分を見ようとするものだが、人の心に映る自分が本当の自分であるのか、定かではない。
僕は、あなたに、どんな自分を映そうとしていたのだろうか。
「他人事」 [生きること]
私が人と違う事があるならば、それはほとんどの人が抱えている問題を、きっと私は抱えていないからだろう。
私が抱えぬその問題は、多く人達にとって、抱えたくて抱えているのではなく、まるで、宿命か、運命のようなもの。産まれた時から、避けることなどできないのだ。
宿命か、運命か。
手配の良かった私には、まるで同じ境遇に置かれる事などなく、私にとっての当たり前が、他者には当たり前ではない事として、自身の事のように受け入れることは、きっと生まれ変わるまで、できないのだろう。
このジレンマを感じる度に、
私は、悲しい、と思うほかに、感情がないのだ。
一方、私が抱える問題は、ほとんどの人が気がつかない。
多くの人にとって、きっと時間を割くに値すらない、「他人事」。
他者の嘆き悲しむ気持ちに寄り添えない私のように、
他者も私には寄り添えないのだろうか。
それでも、私が寄り添う誰かを強く欲っするのは、
その問題が、私の事なのではなく、「他者そのものの存在」だからだろう。
私が抱えぬその問題は、多く人達にとって、抱えたくて抱えているのではなく、まるで、宿命か、運命のようなもの。産まれた時から、避けることなどできないのだ。
宿命か、運命か。
手配の良かった私には、まるで同じ境遇に置かれる事などなく、私にとっての当たり前が、他者には当たり前ではない事として、自身の事のように受け入れることは、きっと生まれ変わるまで、できないのだろう。
このジレンマを感じる度に、
私は、悲しい、と思うほかに、感情がないのだ。
一方、私が抱える問題は、ほとんどの人が気がつかない。
多くの人にとって、きっと時間を割くに値すらない、「他人事」。
他者の嘆き悲しむ気持ちに寄り添えない私のように、
他者も私には寄り添えないのだろうか。
それでも、私が寄り添う誰かを強く欲っするのは、
その問題が、私の事なのではなく、「他者そのものの存在」だからだろう。
Someone like you [100 Essential Songs]
初恋が人生に与える様々な想いは、
その後、長く、沢山の人を愛することの、きっと礎となる。
届かぬ想いに、
そっと手を離してしまったその時には、
去りゆく背中を見送るだけの、
空っぽの想いが、残るかのようだった。
その後、長く、沢山の人を愛することの、きっと礎となる。
届かぬ想いに、
そっと手を離してしまったその時には、
去りゆく背中を見送るだけの、
空っぽの想いが、残るかのようだった。
如果沒有你 [100 Essential Songs]
音楽はいつも、色あせた記憶を蘇らせ、
曲を聴いたその時にいた空間へと誘う。
あなたがくれた、曲を聴けば
今でも僕をあの頃に、
そして
あの頃の僕に、
連れ戻してくれる。
あなたが曲に込めた、その想いは、
その時の僕にはわからなかった。
「いい曲だから」・・・「綺麗な曲だね」
1度聴いたぐらいでは、心の奥に触れることは出来ない。
でも、こうして時間が経って、
残された欠片の一つひとつを拾っていくと、
あなたの想いの深さに、
僕は少し、触れることが出来る。
旋律の合間に、感じる息づかい、
張り詰めるような空気感。
あなたが傍にいて、
愛してくれた、あの頃。
曲を聴いたその時にいた空間へと誘う。
あなたがくれた、曲を聴けば
今でも僕をあの頃に、
そして
あの頃の僕に、
連れ戻してくれる。
あなたが曲に込めた、その想いは、
その時の僕にはわからなかった。
「いい曲だから」・・・「綺麗な曲だね」
1度聴いたぐらいでは、心の奥に触れることは出来ない。
でも、こうして時間が経って、
残された欠片の一つひとつを拾っていくと、
あなたの想いの深さに、
僕は少し、触れることが出来る。
旋律の合間に、感じる息づかい、
張り詰めるような空気感。
あなたが傍にいて、
愛してくれた、あの頃。
生きること [生きること]
僕は、
あるときから
自ら目を覆い,耳を塞いで、
外を知ることを諦め、
失った何かを求めようとはせず、
心に覆った霧を霽らそうともせず、
己と向き合うことから、逃れていた。
しかし、
今日の午後、
ずっと己の内に秘めていた何かが、
突然、あふれだした。
失ったと思っていた何かは、
突然、僕の手の中に戻り、
長らく触れていなかった、
己の外の世界の手触りの、
生々しさを感じた。
生きている一瞬一瞬に、
己の神経の全感覚を研ぎ澄ますことで、
感じたありのままを、
心から溢れる言葉で表すという作業。
これが、
生きるということの実感。
興奮で、今夜はきっと眠れないだろう。
明日という未来がやってくるのが、今から待ち遠しいのだ。
あるときから
自ら目を覆い,耳を塞いで、
外を知ることを諦め、
失った何かを求めようとはせず、
心に覆った霧を霽らそうともせず、
己と向き合うことから、逃れていた。
しかし、
今日の午後、
ずっと己の内に秘めていた何かが、
突然、あふれだした。
失ったと思っていた何かは、
突然、僕の手の中に戻り、
長らく触れていなかった、
己の外の世界の手触りの、
生々しさを感じた。
生きている一瞬一瞬に、
己の神経の全感覚を研ぎ澄ますことで、
感じたありのままを、
心から溢れる言葉で表すという作業。
これが、
生きるということの実感。
興奮で、今夜はきっと眠れないだろう。
明日という未来がやってくるのが、今から待ち遠しいのだ。
Departure Bay [100 Essential Songs]
今はもう、懐かしいというような心地であるが、
30代には、いつもそう感じていたようにおもう。
気持ちを前に進めようとする、あるいは、急いでそうしなくてはならない気がしているが、
でもそれは自分の何か確かな意思や根拠なのではなく、
心のどこかでは、過去や後ろを振り返ることに安堵するか、
もう歩みをとめようとする自分を、いっそ許そうとするか、
目を瞑りたくて仕方が無い。
何か切なく、心がきゅっと締まり、しかし、感情を押し殺し、
前に進めと言われれば、ただ遠くの曇空に目をやって、
何かが訪れることを、ひたすら待っているような心地だった。
ただただ突っ走っていた20代には、想像だにしなかった、心の停滞。
Departure Bay by Diana Krall
30代には、いつもそう感じていたようにおもう。
気持ちを前に進めようとする、あるいは、急いでそうしなくてはならない気がしているが、
でもそれは自分の何か確かな意思や根拠なのではなく、
心のどこかでは、過去や後ろを振り返ることに安堵するか、
もう歩みをとめようとする自分を、いっそ許そうとするか、
目を瞑りたくて仕方が無い。
何か切なく、心がきゅっと締まり、しかし、感情を押し殺し、
前に進めと言われれば、ただ遠くの曇空に目をやって、
何かが訪れることを、ひたすら待っているような心地だった。
ただただ突っ走っていた20代には、想像だにしなかった、心の停滞。
Departure Bay by Diana Krall
前の10件 | -